1.株式の歴史

  1.株(株式会社)のはじまり

  
    17世紀、いまから400年ほど昔のヨーロッパでは、アジアの国々との貿易が盛んでした
    香辛料やガラス細工、絹織物と言ったアジアの品物がヨーロッパの人たちの間で
    とても人気があったからです。
    胡椒などはアジアにしかなく、ヨーロッパで高く売れたので証人たちは大儲けができたのでした。

    最初はイタリアの商人が、地中海経由でエジプトから仕入れてましたが、
    そのうちポルトガルやスペイン、イギリスやオランダの商人たちが直接アフリカ大陸を回って
    アジアに向かうようになりました。
    しかしアジアまで航海するのは往復2年以上もかかり、大きな船を買ったり、
    船乗りを雇わなかったりと、最初にたくさんのお金がいりました。
    それに海賊に荷物を奪われたり、天候が悪くて船が沈没する危険もありました。
    そのため『1人ではとてもできないので、みんなでいっしょにやろう』と言うことになり、
    商人たちは1回の航海ごとにみんなでお金を出し合うことにして、
    無事に航海から船が戻ってきたら儲けを山分けすると言う形で事業が行われました。

    だけど1回ずつ資金を集めて、貿易で儲けて山分けをすると言うのを
    繰り返すのはめんどくさくなってきました。
    そこで、『会社にしてずっと続けよう』と言うことになりました。
    それが株式会社になったわけです。
    つまり、一人ではとてもお金を出し切れないような大きな事業をするために、
    みんなからお金を集めるように発明された仕組みが株式会社なのです。

    株式・株式会社の始まりについては色々と説がありますが、
    現在ではオランダの東インド会社を起源とするのが一般的です。

    株式会社になると、例えば航海に100万円必要で、それを使って300万円になったら、
    次の航海に必要な100万円は残しておいて、200万円を山分けしようと言うようになりました。
    そうすれば今度航海するときに改めて100万円(資本金)を集める必要がないですから。
    もし500万円の利益が出たら、100万円を残しておいて400万円を山分けすることもできますが、
    200万円残して、300万円を山分けすることもできます。
    その200万円があれば、1艘の船じゃなくて、倍の2艘の船がだせます。
    2艘出すと、2倍儲かることになります。
    そうすると今度は300万円残して・・・のように事業がだんだん大きくなり、
    儲かる額も増えるというわけです。
    世界で最初の株式会社というのは、『事業が大きくなれば資本が自然に膨らんで、
    事業をもっと大きくして分け前をどんどん増やすことができる仕組み』だったわけです。





  2.日本での株式の始まり

    
    日本に株式会社の考えが入ってきたのは、明治維新以後のことです。
    最初の株式会社の設立は明治2年と言われていますが、
    この時の会社はまだ不完全で、そのほとんどが失敗したそうです。
    本格的な株式会社の登場は明治5年に”国立銀行条例”
    (国立銀行は株式会社でなければならないという条例)
    が公布されてからのことです。
    明治11年には東京株式取引所と大阪株式取引所が創立されることになります。

    しかし戦前までは多くの株は財閥が保有している物でした。
    国民1人1人が株を持ち始めるようになったのは、
    戦後GHQの指導の元財閥が解体されて、証券民主化運動がおこってからのことです。

    その後の日本市場は、オイルショックなどで度々暴落はあったものの
    日経平均株価の推移は右肩上がりでした。
    日本経済の成長とともに株式市場もどんどん成長していました。
    これはつまり、『株式を持っていると絶対に儲かる』と言うことを意味していたのです。
    ようするに、”絶対にはずれない宝くじ”みたいなものですね。
    まあここから株価神話やら土地神話などと言うものが生まれて、
    バブル崩壊まで突っ切ってしまうわけなのです。
    現在では日本経済も悪く、株価も伸び悩んでいるわけですが。