4.現在の株式市場

  1.店頭市場と未公開株

  
    店頭市場とは取引所を通さず、証券会社の店舗内で業者と顧客が1対1の
    相対売買をする市場です。
    日本の店頭市場は1963年に始まり、91年には米国のNASDAQ(ナスダック)
    をモデルにした店頭株式情報伝達システムJASDAQ(ジャスダック)がスタートし、
    事務処理能力が格段にアップしました。

    店頭上場銘柄の上場基準は、公開時株主数300人以上、純資産2億円以上と
    上場会社に比べて緩やかなので、登録企業は高水準で増加しており、
    今後も多くの企業新規公開が続くと予想されています。


    従来日本では店頭登録・上場株式以外の未公開株を購入することは、原則としてできませんでした。
    これが政府の規制緩和推進計画に基づき、1997年7月から購入できるようになりました。
    それまでは、”価格の公表、企業内容の開示などが十分に行われていないことから、
    店頭登録、上場株式よりも非常にリスクが高い”として
    未公開株の売買や募集、売り出しの勧誘が禁じられていたのです。

    未公開株解禁の理由については、”証券会社が適切に創業段階のベンチャー企業を含む
    未登録・未上場会社の資金調達ニーズに応えるとともに、投資家に対して自己責任を前提とした
    投資機会を提供するため”となっています。

    未公開株が登場した背景には、ベンチャー企業育成という国の制作が強く働いています。
    起業・創業が幼稚園、店頭登録が高校、上場企業が大学とするならば、
    小・中学校が未公開株市場といえるでしょう。
    小・中学校レベルの企業は、規模も小さく株価も安いところがたくさんあります。
    ”10万円投資したら、5年後には店頭公開まで行って、30倍の300万円になった”
    という夢を抱かさせる市場なのです。
    もちろん経営基盤が貧弱な企業が多いだけに、”2〜3年で倒産して、投資がパー”
    なんてことが十分あり得るわけで、ハイリスク・ハイリターンてなわけであります。
    余裕資金で複数の銘柄に投資するのが賢明かもしれませんね。





  2.ベンチャー企業

    
    アメリカでは91年の3月以来、景気の拡大を続けており史上最長の景気拡大期間を更新中です。
    (まあもっとも、すでに景気拡大期間は終わったとも言われておりますが(2001.5現在))
    この背景には情報通信革命の進展に加え、ベンチャー・ダイナミズムの波があります。
    すなわち、若い企業の輩出が経済を活性化したと言うことですね。
    その象徴的な存在がNASDAQの盛況でしょう。(2000年後半以降、波乱含みにもなっているが)
    まさにニューエコノミーの代表的な位置づけと言ってよいでしょう。

    この波が日本にも押し寄せてきました。
    99年の東証マザーズ(MOTHAES)(Market Of The Highgloth And Emarzing Stocksの頭文字をとって)
    の創設に続き、2000年6月にはナスダック・ジャパンがスタートしました。
    2000年の上場・公開企業は200〜300社ほどに達してると言われています。
    ナスダック・ジャパンの準備会社である”ナスダック・ジャパン・プランニング”の登録企業は
    2000社を越えています。

    ただし、ベンチャー企業への投資に当たっては、ハイリスクとの認識が必要です。
    何しろ米ナスダックの場合、過去10年間の新規登録が6422社に対して、
    登録廃止が5805社もあり、新規登録会社数の実に90%の企業が登録廃止になっているのです。
    特にマザーズは下の上場基準表”利益・純資産の基準がない”ことからも分かるように、
    超規制緩和市場であり、事業基盤が確立していない企業も多数です。
    当たれば宝の山ですが、一般投資家は手を出さない方が賢明かもしれませんね。


・上場基準
市場 東京証券取引所
マザーズ
ナスダック・ジャパン
グロース
米ナスダック
ナショナル
利益・純資産額 なし 純資産4億円、
又は税前利益7500万円
(省略)
最低公開株式数 単位株1000株以上の公募
(1単位が1000株なら100万株)
500単位 なし
株主数 300人以上 300人以上 400人以上
設立経過年数 1年以上 1年以上 2年以上
売買手法 オークション オークション マーケット
監査意見 2年間”適正” 直前期が”適正”
(監査期間2年)
企業継続性の意見


・上場廃止基準
市場 東京証券取引所
マザーズ
ナスダック・ジャパン
グロース
米ナスダック
ナショナル
純資産 最近3年間で債務超過
(2年間は猶予)
純資産2億円かつ、
税前利益5000万円未満
総資産が400万ドル
又は総資産と売上高が5000万ドル以下
株主数 150人未満 200人未満 400人未満
売上高 最近1年間で月平均1万株未満、
又は3ヶ月間売買不成立
なし なし





  3.オンライン取引

    
    1999年10月に株式の売買手数料が完全に自由化されました。
    加えてインターネットの急速な普及あり、オンライン(ネット)取引が人気を集めています。

    かつて東京証券取引所には広さ1600平方メートルの立会所があり、
    2000人を越える”場立ち”と呼ばれる職員が働いていました。
    しかし今ではすべてコンピュータに切り替えられています。
    その跡には情報発信センター”東証ARROWS(アローズ)”が作られ、誰でも見学ができます。
    大阪証券取引所ではすでに全銘柄がシステム売買に移行し、
    今や立会所での売買は地方の取引所でしか行われておらず、
    それもシステム売買に移行しようとしています。

    インターネットを使った株式取引(オンライン取引)は、自宅や会社のパソコン、
    あるいは携帯電話などの携帯端末(PDA)を利用して
    時間を気にせずに取引ができ、、投資情報を簡単に得られ、
    かつ売買が格段に安いのが最大の魅力です。
    中には旧売買手数料の20分の1というところもあります。

    現在オンライン取引の口座数は130万を突破し、
    200万〜300万口座になるのも時間の問題だと言われています。
    概存の証券会社だけでなく、商社やメーカーなどがアメリカのオンラインブローカーなどと提携して
    参入するケースが急増し、オンライン証券会社は約60社に達しています。

    オンライントレードのメリットをまとめますと、
     1.売買手数料が安い
     2.いつでもどこでも取引ができる
     3.マイペースで取引ができる
     4.売買の執行が早い
    などがあります。

    その反面、
     1.投資情報を自分で入手し、自分で判断しなければならない
        (証券会社ならば、担当者がおり色々とアドバイスをしてくれたりもする)
     2.最低限のパソコンの操作を身につける必要がある
     3.注文ミスの可能性が少なくない
        (取引を行う際には枚数や金額を間違えたり、銘柄コードを誤入力すると
         そのまま執行されてしまう可能性がありますので、”確認”をしっかりする必要がある)
    などのデメリットもあります。

    オンライン取引が一大ブームとなっていますが、
    いくら売買手数料が安かったり、誰でも気軽にできると入っても、
    株式投資の基本、ノウハウをしっかり身につけていないと
    コンスタントに”利”をあげることはできません。