JALの年金騒動に見る、日本の縮図

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年始から話題になってますJAL問題。
その中でも年金問題だけ少しピックアップを。

紆余曲折がありまして、最終的に決定となったのは
『既に退職しているOBが今後貰う年金は3割減、
 まだJALで働いている現役社員が将来貰う年金は5割以上の減になる』
という案でした。


現役社員の年金削減率は、OB世代よりも2割以上多い。
まだ会社で一応稼げる立場とはいえ、今後リストラ、給与・賞与減、退職金減
が待っているのは間違い無いような状況である。

にもかかわらず、現役社員は今月早々の段階で
減額案賛成数が3分の2を超え、最終的には9割以上の賛成数になった。
組合員が強いと言われているJALとしては、ある意味異例の団結力のように感じられる。


一方OB側は、ご存じの通り対照的であった。
賛成数は5割にも満たず、このままでは減額議決に必要な3分の2の賛成に
届かない状況であった。

ところがここから急展開。
政府及び主要銀行から、『もしも減額合意が成立しないままに法的整理となれば、
減額幅はOBも含め6割以上になる可能性がある』と報じられた。
これによりOBの人達はいきなり態度を変えた。
3分の2の賛成を辛うじて超え、自主減額の方を選択することになった。


このふたつのグループの投票行動の違いが意味するところは明白である。

現役社員にとっては、将来の年金なんかより
『今、自分の働いている会社が潰れるか潰れないか』の方が重要なわけである。
年金減額に賛成することによって倒産が回避できるであれば、
その方がよっぽどマシであると考えるわけである。
もしも法的整理になった場合は、雇用契約だって破棄される可能性もあり得る。
そうなったら年金どころの問題ではなくなるのである。

一方OBにとっては、『JALが潰れるかどうかなんてどうでもいい』と言うことである。
彼等にとって大事なのは、JALではなく自分達の年金なのだから。


まさにこれは日本の縮図のような気がします。
JALを日本に置き換えればいいだけである。

日本の財政が破綻しそうになった時に、現役世代が
『今、国が破綻しないことの方が大事。年金減額や財政緊縮に賛同して』
といくら叫んだところで、年金をもらっている人間は
『日本が潰れるかどうかなんてどうなってもいい、自分たちの年金さえ払ってもらえれば』
と聞く耳を持たないのである。


別にそれを、良い悪いで語りたいわけではないが、
我々が傍観者としてJALが墜ちていく姿を見ているのことが、
近いうちに全国民を巻き込んで起こる可能性を秘めていると言うことです。

その時、今の我々の傍観している立ち位置が、世界の国々に変わるだけで。

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